涙が止まらない原因とは
涙には、涙が作られるところを涙腺、涙が出てくるところを涙道と言います。涙腺から分泌される体液を涙とし、目を乾燥などから守ってくれる役割があります。
日常生活において涙が止まらない、あるいは涙が溢れて出る原因を以下に挙げました。
目への異物混入
ほこりや砂などの異物が目に入ると、防御反応として涙を流します。また、逆さまつげもまばたきの度に目に触れるため異物として認知し、涙の分泌を増やします。赤ちゃんや小さいお子さんは逆さまつげになりやすいため、目を擦っていないか、痒そうにしていないか気を付けて見てあげてください。
花粉やハウスダストなどのアレルゲン
アレルギー物質が刺激となり、結膜がアレルギー反応を起こすと涙の分泌が増えます。花粉のように季節性のものと、ハウスダストのように通年性のものがあります。
目の乾燥
乾燥する冬の季節や、エアコンの効いた室内、パソコンやスマートフォンを長時間眺めるなどして目が乾燥すると、涙が止まらなくなります。これは、目の表面が乾燥することで涙の分泌が増加するからです。
涙目の原因となる疾患
涙目の原因となる疾患は、以下の通りです。
- 結膜炎
- 鼻涙管閉塞
- 涙道閉塞
- 鼻涙管狭窄
- 涙嚢炎
- 顔面神経麻痺
涙目を伴う疾患
細菌性結膜炎
一般的な結膜炎は、充血や目やに、痒み、違和感、異物感、涙目などの症状が起こります。黄色ブドウ球菌による感染によって起こる細菌性結膜炎は、黄色い膿のような目やにが大きな特徴です。
ウイルス性結膜炎
アデノウイルスなどの感染で起こるウイルス性結膜炎は、涙が沢山出るほか、瞼が腫れて充血し、目やに、リンパ節にしこりが出来るなどの症状が伴います。アデノウイルスが原因の咽頭結膜熱(プール熱)では、目の痒みや喉の痛みに加えて、発熱、倦怠感、吐き気、下痢など全身症状が現れます。
結膜弛緩症
加齢に伴い、結膜とされる白目の筋肉などが緩んできて、涙道の入り口を塞ぐため涙があふれ出ます。点眼薬で改善する場合もありますが、根治には緩んだ結膜を一部切除する手術治療しかありません。
鼻涙管閉塞(涙道閉塞)・鼻涙管狭窄
風邪や副鼻腔炎(蓄膿症)などが原因で、涙道が狭くなったり塞がることで、目から涙があふれ出てしまう疾患です。様々な原因が考えられますが、鼻の手術の後遺症や抗がん剤の影響も大きいとされています。涙道閉塞によって、涙嚢炎を引き起こすことがあり、この場合は放置しないようにしましょう。現在は、涙道閉塞を治療できる点鼻薬がなく、手術が必要です。
涙嚢炎
涙道が詰まり、涙道にある涙嚢が細菌感染を起こした状態を涙嚢炎と言います。鼻周辺が腫れて痛み、充血し、涙が止まらなくなり同時に目やにが出ます。重症化すると発熱や顔の半分が腫れたり、目頭を押すと目から膿が出てくるようになります。
顔面神経麻痺
顔面神経が侵され、顔の片側に突然麻痺が起こることで瞼が完全に閉じなくなる疾患です。さらに、頬や口角が垂れ下がりよだれが垂れてきます。涙を分泌する神経まで障害が及ぶと、涙の分泌が過剰になり止まらなくなったり、逆に涙の分泌が低下する場合もあります。顔面神経麻痺は、脳出血による半身麻痺や帯状疱疹による神経障害、顔の片側だけを長時間冷やすなどが原因となって発症します。