レッドライト治療

小児の近視治療には眼鏡、コンタクトレンズ、オルソケラトロジー(夜間装用型コンタクト)、アトロピン点眼があります。
2000年には全世界で約14億人(22.9%)が近視であり、そのうち1億6000万人が高度近視であると推定されていました。そして2050年までには全世界の人口の約半数、50億人(49.8%)が近視になり、その中の約10億人が高度近視になると予想されています。
高度近視は、眼軸の過度の伸長が原因で、網膜、脈絡膜、視神経など目の後方の組織に悪影響を与えるリスクがあります。

レッドライト治療とは

レッドライト治療とは2014年に中国で650nmの赤色光(レッドライト)が眼軸の過剰な伸長(近視の進行)を抑える効果を持つことが発見されました。その後2021年にアメリカの眼科学会誌に紹介され、レッドライト治療は近視の進行を抑制する効果が非常に高いとされ、国際的な注目を浴びています。
レッドライト治療は「650nmの低出力赤色光を1日2回、1回3分間覗き込む」と非常に簡単で、この方法を適切に実施することで、近視の進行を約90%抑制する効果が確認されています。ただし、長期的な効果についてはさらに研究が必要ですが、今のところ副作用の報告はありません。
また、レッドライト治療は「アイライジング(Eyerising)」という特定の機器をご自宅で使用し、治療することができます。

Eyerising(アイライジング)とは

Eyerising(アイライジング)とはEyerising(アイライジング)は、オーストラリアのEyerising International社製で、近視の進行を抑制するためのレッドライト治療に使用されるデバイスです。このデバイスでの治療はRLRL療法(Repeated Low-Level Red-Light therapy)と呼ばれています。
Eyerisingは、30カ国以上で医療機器として認可され、世界中で15万人を超える小児に利用されています。ただし、日本国内では未承認の医療機器となります。

使用方法に関して

  • 患者様はEyerising(アイライジング)をインターネットに接続して、自宅で治療を行います。(Wi-Fi環境が必要です。)
  • 眼鏡やコンタクトレンズを使用している場合は、治療前に外す必要があります。
  • 治療は1日に2回、1回につき3分間赤い光を照射します。
  • 1日の治療の間隔は、最低でも4時間以上あけ、1週間に5日間、合計10回の治療を行います。
  • 安全に使用していただくため、機器はオンラインで管理され、治療時間や治療間隔、使用日数をシステムでコントロールします。そのため、既定の照射時間や回数を超えての使用ができない設定になっています。
  • 使用はタッチスクリーンを介して行われるため、操作は簡単でお子様でも安心して使えます。
    ※3歳から8歳のお子様が使用する場合は、保護者の監視下で行う必要があります。

※レッドライト治療は近視の進行を緩和することを目的としており、近視進行を完全に停止させるものではありません。

レッドライト治療の適応について

レッドライト治療の適応条件

  • 対象年齢:3歳~16歳の小児
  • 治療対象:軽度近視~強度近視眼と診断された方

レッドライト治療ができない方

  • 斜視による両眼視機能異常がある方
  • どちらかの眼に屈折以外の眼球異常(未熟児網膜症、網膜剥離、網膜芽細胞腫などの網膜疾患)、あるいは視機能に影響する全身疾患がある方
  • 遺伝性網脈絡疾患(黄斑ジストロフィー、先天性停止性夜盲、網膜色素変性など)の家族歴がある方
  • 瞳孔散大(散瞳)のある小児、またはアトロピン、シクロペントレート、トロピカミドなど、瞳孔散大を引き起こす可能性のある薬剤を投与した後は、本機器を使用しないでください。

※マイオピン(低濃度アトロピン点眼治療)との併用はできません。低濃度アトロピン点眼治療を行っている方はレッドライト治療開始前に14日間以上の休薬が必要となります。
※オルソケラトロジー治療との併用は可能です。

レッドライト治療の流れ

1適応検査

視力、屈折検査、スリット検査、眼軸長、眼底OCT検査、眼底自発蛍光などの検査を行います。

2デバイスの注文・貸与・登録

  • デバイスを医療機関から貸与します。(第三者への譲渡、貸与、転売は禁止)
  • ご自宅へ持ち帰り、デバイスへの登録を行ってもらいます。

3治療

  • レッドライトを1日に2回、1回3分間覗き込みます。
  • 治療後は3分間程度目を閉じて休めます。
  • 治療間隔は、最低でも4時間以上あけ、1週間に5日間、合計10回の治療を行います。

4定期検査

  • 治療の開始後は必ず定期検査を受診してください。
  • 治療開始から1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、それ以降も6ヶ月毎に定期検査を行います。

レッドライト治療の副作用・注意点

副作用

短期的な副作用として、一時的なまぶしさ、閃光盲、残像が生じることがあります。これらの症状は治療後に目を閉じることで、数分後には消失します。また、治療回数を重ねることで症状の時間が短くなります。

注意点

臨床実験から、本治療により網膜障害や視力の低下が発生した事例が報告されています。これらは光治療に対する過敏反応が原因で起こる稀な副作用とされており、治療を中止して数か月後には症状が改善したと報告があります。

以下の症状が生じた方はデバイスの使用を中止し、医師に相談してください。

  • 治療後のまぶしさ、閃光盲、残像の症状が5分以上続くことが3回以上あった
  • 治療中に光過敏症、眼刺激、眼熱傷などの不快感が生じた

レッドライト治療の費用について

※レッドライト治療は自費診療となるため、保険診療は適応されません。

初年度 初回適応検査の費用 11,000円(税込)

2年間のデバイス貸与+検査診療費用

※検査の目安は、

治療開始後、1、3、6、12、18、24か月です。

165,000円(税込)
2人目以降は66,000円(税込)
3年目以降 定期検査費用(6カ月毎・年2回) 5,500円(税込)

サブスクリプション料金

当院の検査費用とは別に、治療機器のEyerising(アイライジング)はサブスクリプション料金をお支払いしていただく必要があります。デバイスのユーザー登録の際に、サブスクリプション料金の支払い手続きをしていただきます。

毎月払い 8,250円(税込)
1年分一括払い 89,100円(税込)※10%オフ
2年分一括払い 158,400円(税込)※20%オフ
  • サブスクリプション料金の支払いはクレジットカードのみの取り扱い(JCB不可)となります。
  • お支払い完了後はサブスクリプション料金の返金は受けられません。(返金保証トライアルを除く)
  • 支払い手続きでエラーが出る場合は、クレジットカード会社へお問い合わせください。
  • Eyerising(アイライジング)の使用にはインターネットに接続する必要があるため、Wi-Fi環境が必要になります。

治療機器(Eyerising)の安全性について

Eyerising近視治療用機器は、JIS(日本工業規格)C 60825-1:2014のクラス1に準じるダイオードレーザーを採用しています。この装置は最大2.5mWの出力と照度1600Luxを特徴とし、3分間の使用で瞳孔径4mmを通じて網膜に0.29mWの出力を与えます。健常な網膜であれば障害を起こさない領域のエネルギーのため、眼球へ直接照射しても安全です。また、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスを含む30カ国以上で医療機器としての品質、安全性、有効性が認められており、他地域でも認可を得ている状況です。

文献:Ophthalmology Volume 129, Number 5, May 2022

レッドライト治療の
副作用・注意点はこちら

デバイスの保証

  • デバイスの耐用期間および保証期間は製造日から5年です。
  • 耐用期間が経過しても治療を続ける場合、新たなデバイスを無償で提供します。
  • 保証期間中に適切な使用方法に従っているにも関わらず故障が発生した場合、製品保証が適用されます。
  • 以下の原因で発生した故障は保証の適用外です。
    ・落下や水没など偶発的、または人為的な要因による損傷
    ・落雷、地震、火災などの自然災害による損傷
  • デバイスに貼付されたステッカーの剥がし、変更された場合は保証が適用されません。

※保障に関する最終的な判断は製造元が行います。

よくある質問Q&A

1日に1回しか治療できなかった場合は?

1週間のうちに、合計10回の治療を行えれば問題ありません。

治療開始日はいつが起点になりますか?

ポータルサイトでサブスクリプション料金の支払い手続きを完了した日付が治療開始日となります。

治療するタイミングは?

4時間以上の間隔を空けていただければ、治療のタイミングに制限はありません。 例えば、学校からの下校時に1回目、夕食後に2回目の治療を行っていただくことも可能です。

治療途中で、停電やWi-Fiが繋がらなくなった場合は?

治療が開始された時点で、1回分になります。
※デバイスを再起動しても4時間を経過するまでは使用できません。

使用中のデバイスに不具合や故障があった場合は?

事前にご連絡していただき、クリニックへお持ちください。

成人した大人でも使用できますか?

デバイスの使用は可能ですが、本来の対象である3~16歳までの近視と診断された小児と同様の近視進行抑制の効果があるかどうかは不明です。

他の近視治療との併用はできますか?

  • マイオピン(低濃度アトロピン)の場合
    併用した治療はできません。また、レッドライト治療をしたい方で、現在低濃度アトロピン点眼治療を行っている方はレッドライト治療開始前14日間以上の休薬が必要となります。
  • オルソケラトロジーの場合
    併用での治療は可能です。治療方法・費用に関してはクリニックにご相談ください。

遠視の子供にも使用できますか?

レッドライト治療は近視進行を抑制するもののため、遠視の方の使用はできません。

引っ越しなどで受診する医療機関を変更する場合は?

医療機関を変更される場合、デバイスを返却していただく必要があります。必ずクリニックにお知らせください。その後、新しい受診先の医療機関が設定する費用で新たにデバイスの貸与をする必要があります。
※サブスクリプション期間が有効の場合、メーカーに依頼することで、新しいデバイスに情報を引き継ぐことができます。

海外で治療機器を使うことはできますか?

本デバイスは100V~240Vの電圧に対応しており、多くの国で利用可能です。ただし、渡航先のコンセントタイプに合わせた変換アダプターが必要になる場合があります。また、持ち込みが許可されているかどうかは、事前に航空会社や旅行代理店に確認する必要があり、各国の規制も調べる必要があります。回答が得られるまでに時間がかかることもあるため、早めに確認を行うことをお勧めします。

治療を中断する場合は?

  • 医師の判断により治療を中止する場合
    治療経過中、治療を継続すべきでないと医師が判断した場合は、治療開始から6カ月以内であれば、治療費・検査費を50%返金します。
  • 使用者の都合で治療を中止する場合
    使用者が自ら治療を中断する場合は、まずデバイスをクリニックへ返却してください。また、治療開始1か月以内に特定の条件を満たせば、初年度の治療費および検査費の50%を返金可能ですが、それ以降の返金はできません。また、メーカーに対するサブスクリプション料金の解約には別途手続きが必要です。

家族など複数人での使用はできますか?

デバイス1台で、最大5人まで共有が可能です。ご家族での使用の場合、2人目以降の検査・治療費は66,000円になります。また、使用者それぞれのサブスクリプション登録も必要になり、1アカウントごとに1日2回、4時間おきの治療照射ができます。

お問い合わせ先について

  • 治療に関する質問は、当院までお問い合わせください。
  • 機器の操作方法、ポータルサイト等に関するご質問はeyerising-jp@eyelens.sgへお問い合わせください。(カスタマーサポートは販売代理店のシンガポールEye-Lens社が行います。)
    ※ポータルサイトに登録された情報(クレジットカード情報は除く)は、メーカーが指定する販売代理店、メンテナンス事業者も閲覧が可能となりますので予めご了承ください。
 
06-6772-6341 24時間WEB予約 白内障手術 相談会 ICL手術 相談会
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